日本の次世代リーダー(前半) [経営学〔組織と戦略〕]
日本の次世代リーダー(前半)
次世代の日本のリーダーは誰か? それはどんな人たちで、どのような価値観と行動様式を持っているのか。
この質問は、将来の日本経済社会を予測するシナリオを考えるために押さえておかなければならない問題だ。「僕は将来予測など必要ない。この仕事をがんばってます」という人も少なくない。これは裸で戦場を歩くようなものだ。
民主党政権の誤り:組織論の視点 [経営学〔組織と戦略〕]
民主党政権の誤り:組織論の視点
このブログでは、政治について意図的に避けてきた。「政治」ほどつまらないものはないと思っているからだ。今日は、前に書いた「経営学と社会学」の続編を書きたい。その意味での「政治」に触れる。
今回の選挙では予想通り与党は圧勝し、民主党は惨敗した。その理由は一言では要約できないとしても、「経営学と社会学」の視点から民主党政権の誤りは明らかだ。
経営学と社会学 [経営学〔組織と戦略〕]
Paul Desmond Featuring Jim Hall/ Glad to Be Unhappy. 1963.
経営学と社会学
2014年12月21日(日)
ポール・デズモンドで有名なのは「Take Five」。今回ご紹介するアルバムは、ジャズギターのジム・ホールをフィーチャーしている佳作だと思う。映画のワンシーンのようなジャケットがすべてを物語る。アルバムタイトルそのままの雰囲気だ。
組織論の原点 [経営学〔組織と戦略〕]
Mark Whitfield (g). Forever Love.1997. Polyfram Records
2013年12月31日(大晦日)
雑々として、今日で今年も終わる。ゲーテは「日々の仕事」に戻ることの大切さを言ったし、トーマス・マンも「黄金の午前」と呼ばれるような日々を過ごした。いくら僕のような凡人でも、「日々の仕事」が大切なことは変わらない。でも現実にはこうして雑務に日々は過ぎ、1年が暮れていく。凡人たる所以だ。
1年間の締めくくりにMark Whitfieldの「Forever Love」を聴く。スタンダードナンバーだが、ジョージ・ベンソンに見いだされ、ウエス・モンゴメリーの影響を受けた彼の音楽はオリジナルで、静かに心を満たす。
理想の組織としてのジャズトリオ [経営学〔組織と戦略〕]
Russell Malone/ Triple Play. 2010
理想の組織としてのジャズトリオ
2013年3月23日(土)
このあいだまであれだけ寒かったのに、急に桜が満開になった。今日、午前中、仕事を終えてからお花見に出かけようと思ったが、気になるテーマがあって資料を整理しているうちに夕暮れになってしまった。
いったいなぜこんなに書斎に本やら論文があふれているのだろう。僕の書斎は壁がすべて書棚になっている。だいたいテーマ別に文献をかためているが、新しい論文はダウンロードするだけでなく、プリントアウトして製本するようにしていて、それがどんどんたまっていく。研究室も似たようなカオスである。
書斎の床も、いつのまにか本に占領されているではないか。朝、階下からコーヒーを持ってくるときに気をつけないと本や段ボールにつまづく。行き詰まったときは雑雑とした部屋はかなり気分がよくない。近所のスタバに行って、隣の人を気にしながらせまいスペースで文献を読んだり、統計ソフトを動かしたりしている自分に矛盾を感じたりする。
未来をつくる資本主義(結論) [経営学〔組織と戦略〕]
未来をつくる資本主義(結論)
2012年9月2日(日)
大学の機能について、評論家たちが、悪意なのか無意識なのかは別として、ミスリーディングな言説を続けている。いわく、「日本の小学生は世界でも基礎能力が高いほうなのに、大学になると世界レベルで競えないほど能力が低下する。一昔前の日本のサッカーのようではないか、コーチの指導と大学人に責任がある」とかの言説は、まことしやかにお茶の間に広まる。
これが間違いなのは、リーマンショック後の「市場原理主義」批判がミスリーディングな言説であることと同じだ。サブプライムローン問題のそもそもの発端は、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)という半官半民の政策機関であり、政府の住宅=低金利政策だったことを忘れたふりをして、すべてを「ウォール街の強欲」のせいにしてワシントンはたくみに逃げ切った。あれが「市場の暴走」だとしたら、政府に乗せられた市場の軽率さを「暴走」と呼んで責任転嫁をしているだけだろう。
未来をつくる資本主義(その2) [経営学〔組織と戦略〕]
2012年9月1日(土)
新しい資本主義を考える(その2)
新しい資本主義が、現実に現れた象徴的な出来事はベルリンの壁(1989年11月)とソビエト(1991年12月)の2つの崩壊だった。計画経済が崩壊した後に残ったのは資本主義だった。当初、勝ち残った諸国はそれを資本主義の勝利と呼んだ。それは一種の勝利にはちがいなかった。相手が崩壊したのだから。
■マクロ的視点
しかしそれが厳密な概念でもなければ、勝った側全員の勝利でもなかったことを知るにはあまり時間を要しなかった。勝者と宣伝された資本主義諸国は、その実態においてあまりにも多様だった。またその多様性(成長力や人口構成や技術力など)に応じて、一様に勝者と呼べないほど豊かさもさまざまだった。さらには、計画経済諸国の内部に「資本主義」が開放されるようになり、従来の資本主義国よりも高い成長をなしとげるようになった。マクロに言えば、冷戦時代の敵は自滅したけれども、味方の内部に勝者と敗者が生まれたのである。資本主義の勝利とは、いったい何だったのかが新たに問われるようになった。
未来をつくる資本主義(その1) [経営学〔組織と戦略〕]
S.L.ハート『未来をつくる資本主義』(原書、2010;邦訳、英治出版、2012)
2012年8月30日
大学の役割が今ほど問われていることはない。大学で教えていても、今の大学生が直面する「現実」と理論のギャップを感じる。
たとえば「企業」は、何のために存在するのか、どのような機能を期待され、実際にどのくらいその期待に応えているのか、という議論は、教える教師のほうでも考えさせられるほど、理論と現実にギャップが大きくなってきた。
日本の大学とは何か、この問題は大学だけを考えても答えは出ない。大学や教育機関をとりかこむ資本主義システムという環境そのものの変貌を考えなければならない。新しい現実を再把握するために、新しい資本主義論は、この10年余り、さかんに議論されている。定番となった文献を(翻訳のある限りで)みてみよう。
- ジョージ・ソロス『グローバル資本主義の危機』(日経新聞社、1999)
- アラン・B・ジョーンズ『知識資本主義』(日経新聞社、2001)
- C・K・プラハラード他『価値共創の未来へ』(ランダムハウス講談社、2004)
- P・A・ホール&D・ソスキス『資本主義の多様性』(ナカニシヤ出版、2007)
- ロバート・B・ライシュ『暴走する資本主義』(東洋経済新報社、2008)
- スティーブン・デイビス他『新たなる資本主義の正体』(ランダムハウス講談社、2008)
- スチュアート・L・ハート『未来をつくる資本主義』(英治出版、2012)
このテーマに関心がある人なら、最低、これだけは読んでいるだろうと思われる文献リスト。いちばん有名なのは、クオンタム・ファンドの世界的相場師ソロスの本だろう。著者の名前につられて読んだ人も多いと推測する。ヘッジファンド流の、あこぎなハウツーが詰まっていると期待した読者は肩すかしを食うだろう。
シャープと日本柔道の没落 [経営学〔組織と戦略〕]
Milt Jackson Quartet/ 1955
2012年8月19日(日)
オリンピックの結果が明暗を分けた。象徴的な言い方をすれば、柔道で負け、サッカーで勝った。これは日本の伝統的に強かった企業・業界とこれから伸びる業界の明暗によく似ている。
日本の液晶ディスプレイ事業の再生は可能なのか [経営学〔組織と戦略〕]
Dexter Gordon/ Go!/ recorded on August 27, 1962.
2012年3月5日(月)
寒い一日。東京は6℃だった。朝,会社に向かう人々が白い息をはきながら,マフラーとコートで最後の冬と闘っていた。灰色の空には裸の枝が揺れていた。こんな朝はドイツの冬を思い出す。
日経新聞電子版(19:08)によると:
官民ファンドの産業革新機構は,今日,東芝,日立製作所,ソニーの3社と共同設立する中小液晶パネルの新会社「ジャパンディスプレイ」が,パナソニックの茂原工場(千葉県茂原市)を4月に買収することで最終合意した。