SSブログ
前の10件 | -

今お勧めしたいジャズピアノの佳作 [ジャズ日記]

weather.jpg

"All Kinds of Weather"
by Red Garland (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (d),
recorded in 1958, released in 1959 on Prestige Records.


日本の首相が「政治判断」で全国一斉休校の決断をすると、千葉市長が「社会が崩壊する」と発信した。そして「社会」は混乱している。学校、スポーツ、就活、すべてが一斉休校の状態になった。現場の人びとは、どうすればいいかわからず焦っている。

これは企業組織によくある構図で、社長が「俺が責任をとるから」と言っているのだが、現場は「それはないですよ、社長」と悲鳴をあげているのだ。意思決定者と現場の距離感、これは意思決定のプロセスが不透明であればあるほど、遠くなる。

現場は、こういう時には、トップに対する強烈な不信感を抱く。そしていちばんやってはならないことを始める。犯人探しとパニック行動だ。

・こんなになっちゃって、誰のせいだ!(首相が文科相の反対も押し切って決めたらしい。何とかいう首相補佐官がスタンドプレイの入れ知恵をしたってネットに書いてあったぞ。また補佐官か!)

・明日からどうしたらいいんだ!(トイレットペーパーもなくなるらしいぞ、とりあえず買いだめしようか)

こうした現場の行動が、問題の解決に逆行することは、現場自身も実はわかっている。しかし、トイレットペーパーの98%が国内産で、流通が遅れているだけだと知っていても、とりあえず買いに行こう、という近視眼的な行動になるのが常だ。

今はいったん落ち着こう。犯人探しは後からエビデンスをそろえて分析することにして、今、しなければならないことをしよう。パニック行動に走るのは、問題解決を妨害することになる。

こういう時に、聴いてほしいアルバムがある。Red Garlandが、Paul ChambersとArt Taylorの職人芸リズムセッションと好演している「All Kinds of Weather」。

30代の頃、当時勤務していた大学が遠距離にあった。その地で毎週、宿泊していたのだが、慣れない気候のせいか、あるいは初めての本を書いていたせいか、突然、不眠症になった。困った僕を救ってくれたのが、夜、ひとりでホテルで聴いたこのアルバムだった。イヤホーンを通して、この三人の演奏が僕の神経を落ち着かせてくれた。

「Rain」は、もうすぐ雨がやんで、空に虹がかかる気分にさせてくれるし、「Summertime」から「`Tis Autumn」まで、オルセー美術館を歩いているようだ。

先が見えないと誰でも不安になる。焦ると自分を見失う。でも、やまない雨はない。だいじょうぶ。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

10年後の日本の会社と働き方 [経営学〔組織と戦略〕]

10年後の日本の会社と働き方


今二十歳の人たちが三〇歳になる頃、彼ら・彼女らはどのようなキャリアライフをおくっているのだろうか。変わらないと言われてきた「日本型経営」が、このところ大きく曲がり始めている。報道された事実をつなぎ合わせて、10年後の予測をしてみよう。

1990年代から揺らいできた制度がついに変わる。日本を代表する企業、トヨタ自動車と三菱UFJ銀行が変わることは「日本型雇用システム」に止めを刺すことを意味する。

   

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

横浜ベイブリッジ [旅行]

IMG_0249 (1).jpeg


2020年正月

お正月の港町は好きである。今年も家族が集まってのんびり過ごした。年に一度の家族時間を大切にしたい。そう毎年思いながら、ホテルに仕事を持ち込むのが私の悪癖である。

今年は、暮れのうちに大きな資料を必要とするものは片づけておいたので、小さな鞄にMac BookProと数冊の本だけを持ち込んだ。これでも資料持ち込みは例年になく少ない。家人は「持ち込み不可!」と言うが、そうはいかない。持込可である。

(続き)


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:旅行

株主重視と社員重視 [経営学〔組織と戦略〕]

日本の会社は株主のものか


 


神戸大学の三品教授が、今週号の『週刊東洋経済』(2018825日号)に興味深いことを書いていた。その趣旨を自分の考えも交えて紹介する。


会社は株主のものだという意味は、売上から費用を差し引いた残余利益が株主に帰属するということである。会社が好調な時は、株主の利益は増え、逆のときは減る。いずれにせよ「費用」を不当に操作したり、ごまかしてはならない、たとえ企業が儲からないときでも費用は正確に粛々と差し引かれるべきものだ。そのうえで、株主がリスクを取るからこそ、株主重視が正当化される。


日本でも株主重視が叫ばれているが、実態はリスクを従業員に取らせている。会社の業績悪化時に、従業員が給与やボーナスをカットする制度が残っているのがその証拠だ。従業員の給与は「費用」の一部なのであり、企業業績とは無関係に粛々と差し引かれるべきものだ。不況時のリスクを負うのは「会社の所有者」たる株主だからだ。


また、日本ではボーナスは住宅ローンに組み込まれていて、実態は欧米的なインセンティブではなくただの賃金にすぎない。


 


 

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

企業文化・マインドセットの組織論 [経営学〔組織と戦略〕]

企業文化・マインドセットの組織論


2018年8月19日


近年、資源ベースの組織戦略論では「マインドセット」や「企業文化」のマネジメントに関心が集まっている。グーグルの人事担当上級副社長、ラズロ・ボックは「文化は戦略を食う」と言っている。マイクロソフトのCEO、サティア・ナデラも明確に述べている:

「私はCEOのCは[culture]のCだと考えたい。CEOは、企業文化の管理人だ」(ナデラ『ヒット・リフレッシュ』日経BP社、2017年)

なぜ、近年の組織戦略論では企業文化に焦点が当たるのだろうか?


続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:学問

日本だけコカコーラとアルコール [経営学〔組織と戦略〕]

IMG_1869-b.jpg(写真:ローマ、詩的な路地、2017夏撮影)


《写真》
イタリアに長期滞在してボーッとしているのが好きだ。小さい町の方がいいのだが、ローマやミラノのような大都市でも、観光ガイドに掲載されていない普通の街が好きだ。
そこを歩いていると、すばらしい路地に出会える。生活の空間である。その路地は住民の生活につながっていて、安くておいしいトラットリアやバールにもつながっている。小学生が学校から帰る道であり、小さな噴水のまわりでお年寄りが話をしていたり、アパートのアーケードの日陰でローマの強烈な夏の日差しをさけている。
僕たちは今日の生活を明日の手段にする。今していることは、何か目的のための有効な準備でなければ気がすまなくなっている。ローマでは、生活そのものを楽しんでいる。明日ではなく今日が人生の目的なのだ。

日本だけコカコーラからアルコール飲料が発売されるという。海外ではFTなどが結構しっかり報道している。日本でも少し遅れて報道されているから、ニュースバリューがあると感じるのは僕だけではないのだろう。


《コカコーラはアルコール飲料に参入すべきか否か?》






続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:旅行

ビットコイン狂騒曲 [マネー]

ビットコイン狂騒曲


2018年1月28日(日)

40年ぶりとかの寒い日が続いている。先週、大雪の降った日の帰り道、雪で冷え切った風に寒さで身体がふるえた。

ビットコイン(仮想通貨)騒動はもっと寒い。最初に中国で買われて、規制されると、今度は日本で買われた。今、所有者の4割が日本人との報道もある。

100メートル競走のスタートで合図を待つアスリートたちのように、急騰した投資対象は耳を澄まして何かの合図を待っている。ピストルの代わりは、当局の規制、取引所の不正や閉鎖、何でもいい。合図が鳴るとランナーたちはいっせいに「売り」スタートとなる。これが急落だ。曲線的に上がる急騰とは対照的に、急落は直線的に落ちていく。

僕自身はこういう短距離競走には興味も能力もない、若い友人たちにはこの手の投資はやめるようアドバイスしてきた。

この狂躁曲をバンドワゴン効果という理論からその構成をみてみよう。

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:マネー

安定志向の人生と社会:日本 [経営学〔組織と戦略〕]

安定志向の人生と社会


2017年12月27日

「日本企業の稼ぐ力が低いのが問題だ、経営者はもっとリスクをとれ」と先日、テレビのコメンテーターが言っていた。今日、年末の買い物に出かけたときにふと思い出した。

たしかにROA(=EBITDA / 総資産)の時系列ボラティリティ(標準偏差)は日本企業は驚異的に低い。数年前のデータでは、オーストラリアが12.1、カナダが9.4、アメリカが8.8、韓国とドイツが5.1と5.7だったのに対して、日本はたったの2.2しかなかった。

だがこれは上下のブレが異常に低いという意味で、リターンだけでなくリスクも低いことを意味している。

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:学問

トランプ、Trump、Tramp [ジャズ日記]

2017年1月7日(土)

トランプ, Trump, Tramp 

謹賀新年。1月4日の日経平均はいきなり高値で明けたけれども、どうだろうか。

たしかに昨日の米雇用統計(非農業部門の雇用者数、前月比15.6万人増)はまあまあだったし、賃金の伸びは0.4%上昇でアメリカ景気は拡大中で、昨日は夜安心したけれども、どうだろうか。

なにしろ相手が気まぐれなトランプではないか。トヨタに対してお門違いな「NO WAY!」とツイートする次期大統領が今まで存在しただろうか。日本の自動車産業が、アメリカ国内でどれくらい雇用を生み出し、社会にどれくらい貢献しているか、それすら調べずに「ありえない」はあり得ない。

 

続きを読む


東芝ショックとトラスト・コスト [経営学〔組織と戦略〕]

2016年12月29日

東芝ショックとトラスト・コスト

「トランプラリー」の興奮のあと、「東芝ショック」 が日本マーケットを襲った。Financial Timesなど海外にもトップ記事に並ぶ扱いでニュースが伝わっている。この会社が、このタイミングでマーケットに与えたダメージは予想外に大きく、長引くとみている。キーワードは信頼コスト(trust cost)だ。

James Montierが行動ファイナンスの本に書いていたが、投資家は情報の非対称性に直面して、しばしば極端な行動をする。その一つが「確証バイアス」confirmation biasと呼ばれるものだ。今回、東芝は投資家に不信の確証バイアスの根拠を与えた。

 

続きを読む


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感
前の10件 | -

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。