組織リーダーの進化(エセノリオ型リーダーたちへ) [経営学〔組織と戦略〕]
9.11と3.11
2011年9月10日
リーダーの新しいありかたや理論が世界中で研究されている。(写真:NYで撮影)
集権型のピラミッド組織から分散型のフラット組織へというシフトは日本でも明らかになってきた。一見安定して見えるピラミッド組織のもろさがはっきりしてきた今、「管理」から「リーダー」へというシフトがそれに伴っている。組織について研究し,教育してきた者として、僕なりに考えるところを改めてメモしてみると:
- 「想定外」の外部変化に組織はもろい。すばやく適合することがほとんど不可能だ。
- 環境に不適合になった組織は、ルーティンから大きくはずれて、感情的になる。
- そんな場合、いちばん大切なことはリーダーがナチュラルな希望情報を発信することだ。
(続き)
あらゆる「組織」は特定の「想定」があってデザインされている。組織のおかれている状況が競争的であればあるほど、組織は自らの「想定」を真剣に検討する。競争がない状況にある組織は、そういう検討を無意識に怠けるはずだ。いわば程度の問題である。
どちらの組織も、「想定内」の環境を前提にデザインされ,活動していることにはかわりはない。それは機能主義に貫かれている近代的な組織の本質でもある。政府、企業、大学みなそういう機能主義的にデザインされている。
では「想定外」に環境変化がおこった場合、そういう組織はどうしたらいいのか。
実は、近年、「マネジメントからリーダーシップへ」と言われている組織論の流れがそれを提唱していると思う。環境が静態的なときはルーティン活動をつつがなく遂行する「マネジメント」が組織運営の中心だった。今のように,環境が動態的なときは「想定外」にすばやく対応するように、組織メンバーのマインドセットを変えて、組織をひっぱっていく「リーダーシップ」が組織のミドル以上に求められている。
ではリーダーシップとは何か。
ここに「感情」の要素が入ってくる。「マネジメント」は即物的に管理を行っていればよかった。しかし組織を変革しなければならない「リーダーシップ」は、組織メンバーの感情、主観にうったえて動機づけをしなければならなくなった。
組織が元気をなくし、悲観的な感情にうちひしがれているときは、なおさらリーダーが元気づけなければならない。メンバーが強い緊張につつまれているとき、リーダーはそれをときほぐさなければならない。
企業マネジメントの世界でもスポーツの世界でも、「管理」の時代にはそれにふさわしいリーダーシップ論があった。「おれについてこい」という東京オリンピックの東洋の魔女を率いた大松博文監督のスタイルは当時の典型である。高度成長期の日本企業には、こういうリーダーたちがたくさんいたはずだ。
半世紀たった今、先日のオリンピック予選のミーティングで、なでしこジャパンの佐々木則夫監督はチームメンバーから「これ、ノリオじゃん」と言われて、爆笑された。今の希望情報とはそういうものだ。励ましや叱咤激励ではないし、ハッパをかけることとは正反対だ。三枚目的要素とメンターの要素がうまくブレンドされたナチュラルなキャラクターが、緊張や不安につつまれたメンバーに希望を発信できる。
「おれについてこい」(東洋の魔女の女子バレーの監督)から「これノリオじゃん」までは、リーダーの地位の落下と理解してはならない。進化なのだ。
この進化に適応できない日本の職場リーダーをたくさん知っている。ひとつは、リーダーの機能を誤解して「おれについてこい」をまだやっているリーダーたちだ。若くてもこのタイプは多い印象がある。もうひとつは、「これ、ノリオじゃん」のあとに爆笑がない、ドンビキされるエセノリオたちだ。
ノリオになりたかった、というエセノリオリーダー諸君。佐々木監督はたぶん計算してギャグを言っていないんだと思う。リーダーシップとはナチュラルな希有の才能なのだ。あきらめよう。
こんにちは。
本を題材にワールドカフェ形式で討論する集まりがあり、たまに参加しているのですが、11月の集まりの題材ということで、「サーバント リーダーシップ」という本を読み始めました。
まだ最初の所なので本の内容を云々できる段階ではないのですが、サーバント リーダーシップという概念については、たしかに有効だと感じています。
特に、震災関連のボランティアにおいて、腹に落ちる思いをする場面が多いですね。
そして、大変悲しいことに、現在の仕事ではリーダーシップを感じることも必要とされることも非常に少ない。
おそらく、銀行子会社というものは、構造的にリーダーシップを排除しているのでしょう。ついでに、経営能力も。
と、毒づいてもしょうがありませんので、いろいろと将来のことを考えつつ、ボランティアにも力を入れる毎日を送っております。
でhでは。
by iwayan (2011-10-02 15:52)