理想の組織としてのジャズトリオ [経営学〔組織と戦略〕]
Russell Malone/ Triple Play. 2010
理想の組織としてのジャズトリオ
2013年3月23日(土)
このあいだまであれだけ寒かったのに、急に桜が満開になった。今日、午前中、仕事を終えてからお花見に出かけようと思ったが、気になるテーマがあって資料を整理しているうちに夕暮れになってしまった。
いったいなぜこんなに書斎に本やら論文があふれているのだろう。僕の書斎は壁がすべて書棚になっている。だいたいテーマ別に文献をかためているが、新しい論文はダウンロードするだけでなく、プリントアウトして製本するようにしていて、それがどんどんたまっていく。研究室も似たようなカオスである。
書斎の床も、いつのまにか本に占領されているではないか。朝、階下からコーヒーを持ってくるときに気をつけないと本や段ボールにつまづく。行き詰まったときは雑雑とした部屋はかなり気分がよくない。近所のスタバに行って、隣の人を気にしながらせまいスペースで文献を読んだり、統計ソフトを動かしたりしている自分に矛盾を感じたりする。
いらない文献を捨てればいいと整理整頓の本には書いてある。でも、そう簡単に捨てられますかね? 僕の友人で、新築した自宅の書斎にもついに本が入 りきれなくなった先生がいる。彼は自宅近所にアパートを借りて蔵書を置いている。なぜ捨てないの? というと「苦労して集めた本は子供のようなもの」と言 う。むこうは親とは思っていないようだけれど。周りを見ていると、女性のほうがものに固執しないようだ。男性は女々しい。
今日のアルバム は、ラッセル・マローンの初トリオ・アルバム。ちょっと意外な気がするが、あの「Live at Jazz Standard」(2006)ではピアノが入っていた。マローンというジャズギタリストは、ジョー・パスの流れをくむメインストリートのプレイをするの で渋いファンも多いのでは。
こういうアルバムに至福を感じるのはなぜなのか。結局、ギター、ベース、ドラムのたった3つの楽器に無駄がない からではないだろうか。よく組織論の文献に書いてある組織のシナジーというものは、1+1+1が3以上になっているマローンのトリオのようなものだろう。 バーニー・ケッセルの「The Poll Winners」(1957)がこの分野の教科書だとしたら、マローンのこのアルバムは定番になる問題集という存在になって生き残ると思う。
たっ たこれだけの人数でこんなことができるのか。そういう驚きを「組織」はもたらすものだ。音楽でもビジネスでも非営利でも。実際、そういう組織を見ると僕た ちは感動する。そして残念ながらそういう組織は実に少ないだろう。卓越した個人プレーヤーが集まっても、感動する組織にはならないからだ。そこにはリー ダーシップとメンバー間の相性の良さ、この2つが絶対に必要になる。
たいていは、個人の努力が砂浜に水を撒くように吸収されてしまう「組織」が多い。社会人になると、そういう自分ではどうしようもない現実に悩むことになる。それを乗りこえていくには、まず自分がいいプレーヤーになることだ。そして相性の良いプレーヤーを探すほかない。
これから社会人になる君に。Good Luck! 努力は裏切らないから。
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