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スタンダード、古典 [ジャズ日記]

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Standards/ Bireli Lagrene (g)

2009年12月6日(日)
初代からiPodを使っていて、このあいだiPod touchに変えた。iPod phoneは今のところ考えなかった。仕事のメールが身の回りに送られてくるのが気ぜわしく思えたからだ。それにiPod phoneよりもiPod touchのほうが速いという話も捨てがたかった。

使ってみるとたしかに速い。今までのiPod classicが自転車ならiPod touchはオートバイだ。曲と曲の切り替えやメールの無線ランからの取りこみなど、小気味よい速さ。僕の場合は音楽も聴くが、それと同じくらい外国語のCDを聴いているので、切り替えがこうスムースだと楽しさも倍増する。

それから期待以上に音質も上がっている。この音質でラグレーンのようなスタンダードを聴く楽しみは極上のものがある。

ジャズのスタンダードのような楽しみを、経営学の古典もあたえてくれる。何より、きちんとした思考力を鍛えるために古典は避けて通ることができない。学部のうちに読まなければならない古典はたくさんある。自分の古典を持たない人は信用できない。結局、場当たり的に俗世を生きてますと言っているようなものだからだ。その時々の流行知を切り売りされたのでは、学問は死んでしまう。信用できるのは自分の古典を持っている人だけだ。

もっともおもしろいのは、自分で古典を見つけ出す作業だ。今はまだ新規な理論でも時間がたてば古典として残っていく理論はある。たとえばクレイトン・クリステンセンなどはその1つだと思う。彼の理論が優れているのは、「破壊」される側も優秀で、それなりに合理的な判断を下すがゆえに破壊されるという論理だ。会社がつぶれるのは経営者がまともに判断できなかったからだという通説は、これだけ大企業がつぶれ、優秀な経営者が失敗する時代には釈然としない。合理的で優秀だからこそ会社は破壊的イノベーションに屈する。

アレキサンダー・ベルが、発明した電話技術を、当時の通信業界の支配的企業ウエスタン・ユニオンに10万ドルでもちこんだとき、同社は買い取りを拒否した。経営陣から一顧だにされずに電気のおもちゃと認知されたその技術が、すぐに電信業界を破壊し、電話業界をみるみるうちに作り上げていくことになる。『明日は誰のものか』(ランダムハウス講談社)でクリステンセンらは、この経営判断をミスと評価しない。合理的な意思決定だったとみなす。

その局面での合理的な意思決定が蓄積されて、気がついたときは手の施しようもなくなっている。そして既存の業界は破壊されて、既存の支配的企業は倒産する。

これは「限定合理性」なのだろうか。それとも「合理性」なのだろうか。そういう疑問がわいてくると、人はまたサイモンという古典に戻る。


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コメント 1

iwayan

iPodのビットレート、上げてらっしゃいますか?
デフォルトは128ですが、192からだいぶ変わります。
そして、その上は徐々に気休めレベルとなります。

「イノベーションのジレンマ」は、とても鮮烈な刺激でした。
理論の切れ味を感じました。
脱線となりますが、ハーバードビジネスレビューで紹介されていた、「ビジネスモデルと戦略のマッチング」が興味深かったです。
事業を、コンサルファームや投資銀行等の「複雑系モデル」と、量販やリテール等の「リテールモデル」に分けるというもので、とても単純な切り口。
ですが、現在在籍しているリース会社の問題点を考えるに、とても適していて、「大量生産モデル」のリースビジネスと、「複雑系モデル」の資産流動化商品やプロジェクトファイナンス等の混在、社内の営業戦略(の切れの無さ)や、管理体制(の問題点)を考えるに、とてもちょうどいい。

職務的にも性格的にも理論べったりにはなれませんが、それでも理論は大切ですね。
by iwayan (2009-12-06 18:02) 

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