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日本の次世代リーダー(前半) [経営学〔組織と戦略〕]

日本の次世代リーダー(前半)

次世代の日本のリーダーは誰か? それはどんな人たちで、どのような価値観と行動様式を持っているのか。

この質問は、将来の日本経済社会を予測するシナリオを考えるために押さえておかなければならない問題だ。「僕は将来予測など必要ない。この仕事をがんばってます」という人も少なくない。これは裸で戦場を歩くようなものだ。

 

仕事は誰をも追いかけてくるし、誰の時間も奪っていく。だからこそ長期的な見通しを持って仕事に立ち向かわなければ、次から次へと降ってくる目の前の仕事に「忙しい」という自己満足に陥ってしまう。

将来の日本がどうなっていくのか、たとえばオリンピック(2020年)という節目、これの後、日本はどうなるのか? こういうシナリオを自分で勉強して、自分でシナリオを持つすることが、今のあなたがどう仕事をするべきかを示してくれるはずだ。

その際、いちばん大切な変数は何だろうか。たとえば経済の景気かもしれない(GDP成長率、潜在成長率、金利、PB、インフレ、失業率、為替相場、日経平均株価)。あるいは景気を支える企業の競争力、経営者、幹部社員かもしれない。さらに遡れば、企業を活性化させるための政策を実現する政治家や官僚だろうか。いずれにせよ、「人」または「エリート層」の問題になる。

では、次世代の日本のエリート層がどんな特性を持っているのか、前の時代のエリート層とどう違うのか、あるいはグローバルにみたらやはり「日本的」エリートにすぎないのか、いろいろ見方はある。ただはっきりしているのは、彼ら・彼女らはバブルも貧困も知らないということだ。これは次の日本経済、日本企業の可能性を考えるために見逃せないことだろう。

世代を語るのに、団塊の世代とか、団塊ジュニアなどの類型が一般的だ。欧米の仕事の現場には、今、4つの世代が混在している(Lynda Gratton, The Shift, 2011)。

  • トラディショナリスト(1928~1945年ごろ生まれ)
  • ベビーブーマー(1945~1964)
  • X世代(1965~1979)
  • Y世代(1980~1995)

簡単に紹介すると、トラディショナリストは現在の企業や政治の組織の仕組み、基盤を作った人たち。その子供たち、戦後派のベビーブーマー(日本の「団塊の世代」より広義)は今は50~60歳代で、ここに膨大な知識量と技能が蓄積されているが、すぐに職場を離れる。そのまた子供たちのジェネレーションXは、現在、職場の中軸を担うミドル層、働き盛り世代。コンピュータ世代でもあるが、まだオンラインよりもオフラインのFace to faceな世界に親しい。最後のジェネレーションYはインターネット世代で、コミュニケーション手段としてソーシャルネットワーク、電子メールを駆使し、オンラインとオフラインを巧みに使い分ける。
(グラットンはこの後に「Z世代」という1995年以降生まれの新しい世代が続くと記しているが、まだ彼らは企業組織の現場には入っていない)

では、日本をふり返ってみよう。グラットンの欧米流の世代論はどうもしっくりこない。リーマンショックとITバブル、それに1980年代後半の不動産&金融バブルという3つの大きな出来事が、日本の時代区分と世代区分にはぴったりくる。リーマンショック世代、その10年ほど前のITバブル(2000年代初頭)世代、そして1985年から1991年までのバブル世代に分けてみよう。今回は、バブル世代を軸に考える。

1980年代バブルを演出していた世代は今、退職生活を過ごしているだろう。1985年、昭和60年にバブルが始まったころ、バブルを演出して、バブルから過大な利益を得ていた人々は、当時、35歳から45歳のビジネスの最先端で動いていた世代だ。ディスコ、不動産、株投資などのバブリーなビジネスの尖兵だった。彼らは訪れたチャンスを最大に活かそうして懸命に働いた。六本木あたりで不動産や株で稼いだあぶく銭を使い「ブンブン言わせた」人たちもいた。しかし、マンションの転売で最後にババをつかまされた人もいた。株の暴騰に焦って、高値づかみから転落した人も多かった。覚えておこう、祭りの後は明かりが消えて人が去り、とても寂しいものだ。

日本経済が総量規制でバブル崩壊に沈んで、金融危機で国家崩壊の危機に陥ったころ、アメリカではインターネット経済で新しい仕組みが花を咲かせた。遅まきながら日本にも「今までとはまったくちがう仕組みの、取引コストがゼロになる画期的なインターネットというもの」が花を咲かせた。このITバブルは短命で、2001年に崩壊した。

そしてサブプライム問題から始まって、「日本経済には風邪ていどだ」と当時の担当大臣が国会で話したリーマンショックが日本を襲う、2009年のことだった。あのトヨタでさえ未曾有の経営危機に陥った。これが風邪なら、スペイン風邪だろう。 悪性のパンデミックだった。今でもマーケットでは、「リーマン前の株価水準に回復した」という基準が使われる。その後の円高が日本経済を壊滅させようとし、不幸な自然災害もあった。なんで今なのか、と思わざるを得なかった最悪のタイミングの災害だった。

そんなこんなを、日本経済はようやく回復しつつある。もとより完全にではほど遠いけれども、ともかく「リーマンショック前の水準」をめざして、進んでいる。バブルとデフレの落差、バブルとリーマンショックの落差、それを体験した人たちが今、日本経済を支えている、がんばっているのを私は知っている。では次の世代はどうか?

 


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コメント 1

教授

卒業生のK君へ
コメント、連絡先、拝受しました。
どうもありがとうございました。
これからもお元気でご活躍をお祈りしています。
by 教授 (2015-04-18 13:43) 

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