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半沢直樹のこと [ジャズ日記]

半沢直樹.jpg

2013年8月13日(火)

今日も暑かった。研究室にたどりつくまでに体力の半分を消耗してしまう。クーラーと冷たい飲み物でチャージしてから、仕事にかかる。が、すぐに眠くなる。しかし締め切りは待ってくれない。ツェッペリンをガンガンかけて(幸いお盆休暇で僕のフロアには誰もいない)、資料を読み、分類し、メモを作る。

ジミー・ペイジでもダメな場合は、ソファーに場所を移して痛快な小説を読むに限る。今なら「半沢直樹」だろう。原作は漱石で言えば「坊っちゃん」。こういうヒロインのキャラクターが立っているのがいい小説だ。

原作よりドラマはもっとおもしろい。脚本がいい。原作+時代劇というし立てになっている。
たとえば、悪党の東田をキタの新地のクラブでやっつけるシーンには原作にはないチャンバラが入っている。主人公のセリフも不自然なくらい時代劇だ。天才堺雅人の演技力が高視聴率につながっている。

この間も「倍返し」というセリフを、出張の帰りの車中で耳にした。サラリーマンのグループが使って笑っている。「上司からさらに倍返しされちゃうよ」というのだ。あのドラマは流行ってると思った。

現 実には、銀行にような官僚主義と階層組織のなかには「半沢直樹」は生き残れない。官僚主義が組織の中にはびこると、社員の関心事は政治と出世になる。誰も 顧客のことを見なくなるのだ。「経営をなめるなよ」とは、銀行そのものに向けて言わねばならないセリフだろう。優良企業では、社員は外=顧客を見て仕事を しているが、半沢直樹の銀行は行員は内=社内政治を見て仕事をしている。バブル崩壊後、20年前に業界の大整理を余儀なくされたのも無理はないのだ。いっ たいいくつの銀行が統合合併されただろうか。

作者は自身の銀行勤務経験をうまく下地に使いながら、非現実的だけれども痛快な主人公を創作した。誰もが、こういう人がいればいいなあと憧れるような主人公が時代の転換期には流行る。

思い出してほしいのだが、デフレ時代の金融小説は、もっとシリアスで重苦しい、救いのないものだった。「半沢直樹」は新しい金融小説だ。これもデフレ脱却の文化的な表象かもしれない。


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