未来のために今すべきこと (2) 分散 [ジャズ日記]
2013年8月7日(水)
未来のために今すべきこと(2)分散
前回、未来のことは誰にもわからないから、今、何を準備すべきかには正解はないと書いた。
結局は、まわりに流される人が一番「高値づかみ」をしてしまう。それなら今、何もしないのがベストなのかというと、それもちがう。他の人が少しでも準備をしていたら、自分だけマイナスになるかもしれないからだ。
ではどうすべきか。前回は、長期的な方針をもって、遠くの目標に向かって努力(投資)をすべきだと締めくくった。人生哲学、経営哲学、投資哲学そういった長期的な視線が大切であることは、それなしには目先の短期の数字にふりまわされて我を失うからだ。
数々の失敗を思い出すと、平常心をなくし焦ってパニックに陥ったときがいちばん大きな失敗をしている。数分間たって我に返ったとき、失った数字を数 えてなんとも言えない惨めな気持ちにさせられる。何ヶ月もの努力を、数分間のパニックですべて自分自身でぶちこわしたのだから、その惨めさも当然だ。
キャリアプランを立てる際に、将来のことは予測できない状況でいちばん大切なのは、冷静に自分を見つめること、そして長期的な哲学を持つことだ。まだ長期方針を持っていない人は、まわりに振り回される。
自分について明確なイメージが持てるまで、根気よく勉強する必要がある。経済や経営の勉強だけでなく、それと無関係な読書、社会経験、多様な活動、旅行、留学。
要は、自分をちがう環境に置くことだ。1年程度の短期留学でも、帰国した学生はほとんど全員、思っても見なかった自分が見えてきたと言っている。
そ れから、自分の道はこれだ、とおっちょこちょいに決めつけないこと。そういう決めつけは、たいていの場合、「正解は誰にもわからない」という鉄則から離れ た空想になってしまう。そして後から後悔することが多いようだ。明日のことは予測できない以上、今は選択肢を広くすることが大事なのだ。
マーケットの格言には「持っている卵をひとつのカゴに盛るな」と言う。
ひとつのカゴにすべての卵を入れておいたら、カゴを落としたときに全部が割れてしまう。分散投資は投資の基本。相関関係ができるだけない銘柄を、8つとか10くらい保有せよという説もある。
将 来、自分はぜったいにXXになるのだから、XXに役立つことしか勉強しない、というポジションの取り方は、すべての卵をひとつのカゴに入れてしまってい る。△△や〇〇の会社しかうからなかったら、その投資は無駄になるし、いちばん怖いのは、自分のモチベーションを保つことが難しくなることだ。卵は分散し ておくべきだ。
最後に、ベストな選択を理論的に考えてみる。実際にはあり得ない理想型だ。
今は、誰も見向きもしない職業(銘柄)が
あって、その準備・投資はものすごく安くできる。しかし数ヶ月後、数年後、その職業(銘柄)は社会の花形になっていて、そのスキルがあるのは自分だけだ
し、それを底値で拾っていた投資家も自分だけだ。こういう場合、理論値では、そのリターンは想像できないくらい大きい。
三島由紀夫は、結婚とは株のようなものだと書いた、安いうちに相手の真価を見抜けという意味だ。人生のキャリアも株のようなものではないか。その対象の真価を見抜く能力(これを教養と呼ぶわけだが)と、見抜いたら実行する行動力がその人の人生に大きなリターンをもたらす。
そういう理論値的な人は少ない。が、いないわけではない。超大企業に勤めながら、土日にコツコツと研究をして学位を取って、その大企業が倒産する直前に無事に「離陸」した人もいる。たいへんな教養と努力だと思う。これこそ分散投資の成果ではないか。
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