旅行中に何を読むか [旅行]
旅行中に何を読むか
このアルバムは,前にも紹介した,サイモントガーファンクルの,映画「卒業」のサントラだ。飛行機の中で,ゆっくりノートパソコンで映画を観ようという旅行者の方にお勧めだ。
団塊の世代から30代まで,知らない人はいないという有名な作品だから,もし観たことがないという人がいたら,僕はむしろうらやましい。あの感動を新たに味わえるとは。
僕は最初,学生時代に,何かといっしょに観た。ロードショーではなかったから,筋書きは知っていて,音楽目当てだった。最初は「卒業」の意味がわからなかったと思う。大学を優秀な成績で卒業した主人公ベンジャミンだから「卒業」なのか程度の読解力だったろう。
次に観たのは,大学生のころ。今度は,恋愛経験によって青春を「卒業」するのかな,という程度の読みしかできなかった。ベンは2つの恋愛を体験するのだが,みじめな恋愛という印象が強かった。
カリフォルニア,バークレーの四季の美しい景色に圧倒されながら,ベンの「みじめでみっともない恋愛」の意味をほんとうに理解できた気になったのは,それから数年後,留学中にパリに旅行して,パリ郊外の映画館でもういちど観たときだった。
ベンが何を「卒業」するのか。その意味は観る人ごとに答はちがうかもしれない。それを,いっしょに観た人と帰りのレストランで語り合ってほしい作品。
旅行で何を読むかだが,カズオ・イシグロはどうだろうか?
映画になった『日の名残り』はストーリーを知りすぎている人も多いだろうから,文学の薫り高くおもしろい本をあげておこう。
- 『わたしたちが孤児だったころ』(翻訳は早川文庫,940円)。
舞台が上海なので,そのへんのところはよろしく。ちなみに原著のペーパーバックは英語の構文と形容詞がさすがに文学だ。1人旅の飛行機の中で雰囲気にひたりたい方にお薦め。
コメント 0