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ハノイの哀しみ(男と女) [旅行]

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(2008.03.27,ホーチミン)
ガイド氏や数人のベトナム人教授の語るところによれば、ベトナムの女性は生活力があり、強いという。
実際、ベトナムでは女性が働いている姿がめだつ。反対に男たちは、木陰で日がなぼーっとしているのが印象的だ。
「なにをしているのか」とガイド氏に聞いたら「何もしていない」という。
なぜ昼間から働きもせずにぼーっとしているのかと聞いたら、「暑いからだ」という。でも、それは女性も同じ条件ではないか。ここでは女が強く、生活力があり、男がぼーっとしている。フランスとの第一次インドシナ戦争から、ベトナム戦争、第三次インドシナ戦争まで、この国は1946年から1991年までずっと「戦争中」だった。
 この国の女たちにとっては、男というものはいつ戦争にとられるかわからない不確実な存在なのだ。しかし日々の生活は厳然として営まねばならない。子供を育て、年老いた親の面倒をみなければならない。彼女たちは男に頼らないで自分で働いてきた。

あるベトナム人ガイドは、20年結婚していて、このあいだ初めて家のガス代と電気代を夫にもらったと笑っていた。家賃も食費も子供の学費も全部、妻がひとりで稼いできたそうだ。
 別のガイドは、夫がいったいいくら月給をもらっているか知らない、経済的に夫に依存していない、と当然のように言った。この先進国ではありえない「男と女」たちを僕たちはどう評価すべきなのだろう。

「女が強い」のはわかっているが、それは賛美すべきことなのだろうか。むしろ僕にはこの「男と女」たちは哀しく見える。結婚してもパートナーさえ頼りにできない女たち、頼りにされないからふらふらしている男たち、これは市民社会の理想と言うにはあまりに不安定で、はかない。
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