Kenny Burrell, At The Five Spot Cafe,ジャズクラブの使い方 [ジャズ日記]
Kenny Burrell / At the Five Spot Cafe. Blue Note / 1959. NY.
Tina Brooks(ts), Kenny Burrell(g), Bobby Timmons(p)Ben Tucker(b), Art Blakey(ds)
2010年7月23日(金)
ジャズのクラブは一人で聴きに行くものではない。ましてロックの野外コンサートのようなグランジな格好で行くべきではない。プレーヤーに敬意を表して、それなりに着飾って、それなりの相手と行くべきものだ。
しかし、いちばんしてはならないのは、アンコールまで座っていることだ。途中で静かに席を立ち、ボーイに微笑みをのこして、二人で消えなければならない。
そういうジャズ・クラブのコンセプトを味わえるのが、ケニー・バレルのこの1枚だ。
バレルによる曲紹介から始まり、最初の「Birk's Works」で今夜この店に来て良かったと思い、ブルージーな雰囲気の中で洗練された大人のジャズに包まれていく。ティモンズのピアノが良いのか、アート・ブレイキーの彼にしてはひどく押さえたドラミングがツボを心得ているのか、あなたはここちよくジャズに身も心もまかせていく。
だからといって、最後までここに座っている気などさらさらないから、あなたはこの麻薬的な音楽と闘っている。「Lover Man」が始まったら、席を立とうと彼女に合図を送ることなど、とうてい無理だ。
「Swingin'」で油断しているうちに「If You Could See Me Now」の極上スローバラードが始まってしまう。
さて、あなたは、はたして何曲目でボーイにチェックを頼み、彼女と消えることができるだろうか。
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