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トヨタに捧ぐ1枚「Bewitched」 [ジャズ日記]

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Eddie Higgins Trio/ Bewitched. 2001. Venus.

2010年3月10日(水)
こんなにひどく風邪をこじらせたのは何年ぶりだろう。まだ予断は許さないが,昨日よりは薬が効いている。あれだけたくさん飲んでいるのだから当然か。

トヨタもリコール問題で米国の公聴会を乗り切り,中国では販売を増やし,日本の監督官庁への報告も終わり,株式市場も一段落したという動きになっている。僕の風邪ではないが,少し上向きになってきたということか。こちらもまだまだ油断できないけれども。

妙に仲間意識を感じてしまうトヨタ自動車に,この一枚「Bewitched」を捧ぐ。また世界の顧客を「魅せられる」ようになる日が遠からんことを。ソニーは3Dテレビが好感を持って迎えられている。とにかく病気の僕には明るいニュースはうれしい。

自動車にせよ、3Dテレビにせよ、高価なものだ。高いものを売っている会社にはそれだけの評判が必要だ。ただ他社より品質が良いという「技術点」だけではなく、キム・ヨナ選手ではないが、言葉にはできない印象とか雰囲気とか、「企業の評判」が必要だ。トヨタとソニーはまちがいなくそれを持っていたから、世界で受容されてきた。

なぜ「評判」という「芸術点」が必要なのか。いろいろな理論があるが、最近、痛い頭で読んだ本の中におもしろい視点があった。

クリス・アンダーソンの『フリー』(NHK出版)は、1円とタダは決定的な違いだという。人間は元来、怠け者だから、物事を判断したり考えたりしたくない。ものに1円、1セントという値段がつくと、人間の脳の中で合図の旗が揚がり、「これはそれだけの値打ちがあるものか?」と判断する労力を呼び起こす。これを「心理的取引コスト」(ニック・サボの用語らしい)と呼ぶ。

タダのものならば、そういう認知作業コストに煩わされずにすむから、人間は我先にとそれを求める。1円でもそういう心理的障壁をのりこえて、人間はものを消費するとしたら、何百万円もする自動車や何十万円もする高級テレビを選ぶとき、消費者はどれだけ「芸術点」に依存するだろうか。品質という「技術点」はむしろあって当然だろう。

これは人間で言えば、健康は技術点だろうなあ。やれやれ。

今回、トヨタに捧ぐ一枚について。大人の恋を連想させるジャケットから想像するよりは,また演奏者の年齢から想像するよりは,はるかに若々しい「魅せられて」の1枚だ。大企業になっても若々しくありたい。「Dear Old Stockholm」2002(Swing Journal選定ゴールドディスクの1枚)とどっちがいいだろう。両方捨てがたい。

「Bewitched」はサマンサとダーリンが主人公のテレビドラマ「奥さまは魔女」(1964-1972,ABCテレビ)の原題でタイトル曲。日本でもリメイクが作られた。曲はジャズのスタンダード・バラードになっている。


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