フリードマン対ゲマワット [経営学〔組織と戦略〕]
2009年7月9日(木)朝
グローバル化の理解と経営戦略をめぐり、ちょっとした対決が今、世界の注目をあびている。
という夕刊紙的なリードなのだが、世界タイトルマッチ的に紹介しよう。
青コーナー、ピューリッツァー賞ジャーナリスト、ニューヨークタイムズ記者、Thomas L. Friedman、がっちり体型だが何パウンドだろう!
赤コーナー、ゲーム理論経営戦略研究者、ハーバード・ビジネススクール教授、Pankaj Ghemawat、かなり長身でスラリとしているが何パウンドか知らない!
フリードマンは「レクサスとオリーブの木」なら「レクサス」が勝ち、グローバル化が世界を「フラット化」することに迷いはないグローバリスト。
ゲマワットは「コークの味は国ごとに違うべきか」と言われたら「セミ・グローバリゼーション」を指摘する、ローカル派、ただしくはセミ・グローバル派。
この横綱級の論客が、グローバル化と経営戦略についてまっこうから対決しているのだから、世界も(そのうち)注目するだろう!
それで僕はどっちを応援するかだが、フリードマンの説得力にはかぶれつつも言っていることはゲマワットのほうが正しいと思っている。第一、缶コーヒー「ジョージア」が日本独自の製品をなかなか認めなかったコカ・コーラのアトランタ本社に対する皮肉をこめたネーミングだったというゲマワットの話は笑えるじゃないか。
コカ・コーラは当時、「フラット化」戦略をまっこうから推進していて、ローカルな海外子会社に権限を委譲しなかったからだ。
世界は均質的な市場(つまりフラットだ)と見て、グローバルな量産と規模の経済を求める戦略をとるか、それとも世界は多様性に富んだ市場(マルチ・ローカル、マルチ・ドメスティック)と見て、マルチ・ドメスティックな戦略をとるか。グローバル企業の方針はこのふたつのモデルの間に位置づけることができる。
あなたの会社はどちらだろう? そしてそれは正しい戦略なのだろうか?
ちなみにコカ・コーラはペプシの追い上げによって自社の認識が誤っていたことを悟り、CEOを刷新してグローバル効率化戦略から極端なマルチ・ドメスティック戦略に変更する。
そしてそれがまた間違いだった、というのがゲマワットの興味深い理論だ。セミ・グローバル派。なんだかハーバードの秀才らしいものいいではあるまいか。
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